第216章

「ご親切にどうも。でも、彼と話すことは何もありません」

 そう言い残すと、前田南は礼儀も何もかなぐり捨て、ドアを開けてそのまま出て行ってしまった。

 個室に残された一同は、非常に気まずい雰囲気に包まれた。

 彼らは望月琛ほどの力も地位もないとはいえ、ここまであからさまに無視される筋合いはないだろう。

 数人は、この前田南が何者であれ、帰ったら何かしらの意地悪をしてやろうと考えていた。

 しかし望月琛は、彼らの心の内を見透かしたようだった。

 指でテーブルを軽くトントンと叩き、あるかないかの笑みを浮かべながらも、その口から発せられる言葉は、格別に冷え切っていた。

 「チャンスはや...

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